電子書籍の魅力と異質性

電子書籍の魅力と異質性

みなさんこんにちは!神崎なつめです。

最近は電子書籍のユーザーが増えてきて、ライターさんの中にも出版をチャレンジする方が増えてきました。ライターでなくても、仕事で培ったノウハウをまとめるような人も出てきたように思います。

そんな電子書籍は、紙の書籍と大きく性質が違うように見えます。もしかすれば、そこを突き詰めていくことで売れる電子書籍を生み出せるかも? 

ということで、電子書籍というモノを最大限に活用するために、今回は電子書籍の魅力と異質性について分析していきたいと思います。

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紙の書籍と電子書籍の違い

伝統的である紙の書籍と、誰でも出版できる“気楽”な電子書籍にはどのような違いがあるでしょうか。

紙の書籍の歴史

伝統的であるアナログはパピルスや粘土に直接文字を刻み込む時代を経て、紙を用いるようになった歴史があります。

古い歴史で見れば、現代の紙の書籍はハンディでコンパクトであり、持ち歩きが可能になりました。

また、石や羊皮紙と比べると耐久性が劣るものの、紙も十分な耐久性を有しており、その上、グーテンベルクの活版印刷技術などの発展から、本などは安く入手できるようになっています。

電子書籍の歴史

一方の電子書籍。2004年や2010年、2011年には「電子書籍元年」というキャッチコピーが流行し、電子書籍の時代が到来すると期待されるほどに、存在感を現しました。

電子書籍はアナログに比べて、どのような点が魅力的なのか。

はじめに、電子書籍が気楽に扱うことができる印象を与えていることについて触れました。気軽な印象を与えているのは当然、電子書籍の機能面から来ていることでしょう。

そのため、アナログと比較して備わっている電子書籍の機能を洗い出すことは、すなわち電子書籍の魅力を洗い出すことにつながります。

電子書籍の魅力

電子書籍の機能の1つとして、「タブレットなどを前提に閲覧すること」が挙げられます。

端末一つで管理できるようになりました。膨大な情報量を一つの端末に集積できるため、膨大な動画の収録も可能です。視覚への訴えなど、仕掛けも多様化したわけです。

また、紙の書籍は、嵩張るものです。本棚で管理したり、多い場合には書庫を用意している家庭もあるでしょう。自宅で管理できる量が限られているために、必要に応じて図書館やレンタルショップを利用する必要があったと思います。

神崎は実家の2階にかつて私室だった部屋がありますが、あまりに本を置きすぎて1階の天井がちょっと傾いています……。ゴメンナサイ。

とにかく、電子書籍はこれらを改善している点で魅力があり、気楽に収集できるといったメリットを備えていると言えます。

そして、2つ目の機能として、電子上で管理することにより、マルチメディア機能が充実している点が挙げられます。

とりわけ検索機能は、キーワードによる情報アクセスを可能とし、欲しい情報がすぐに手に入るようになりました。紙の書籍はボリューム感がある一方で、電子書籍はその場ですぐに欲しい情報にアクセスできる点で気楽ですね。

電子書籍の異質性

電子書籍の有名な販売先に、『Amazon』の『Kindle』があります。

『Kindle』は出版費用がかからないために、今までライティングを仕事としなかった人も本を出すようになりました。

紙の書籍が、読者を楽しませるために段落構成を練って作り上げられたものであるとすれば、電子書籍はプロではない人の等身大の、その人の経験がありのままに書かれていることも多いです。(もちろんプロの方もいらっしゃいます)

紙の書籍は自費出版を除いて、売れる作品を書かなければ出版することすらままならない伝統的なものであるのに対し、電子書籍は手軽で気楽なものになりました。

それだけでなく、電子書籍はコミュニケーションを活用するツールとなりつつあります。例えば、書籍に関する質問やノウハウを伝授する方法として、ライン@の誘導やメルマガ登録の誘導などで締めくくられ、リスト集客の意味合いを持ったものもあります。

出版の敷居の低さとより自由な執筆、コミュニティ形成を目的とした出版は従来の書籍では行われなかったことでしょう。

異質性の要因

出版物を含めたメディアは従来、一方向に情報発信されるものでしたが、インターネットの普及により、双方向での情報伝達を可能としています。メディアの機能も少しずつ変化してきたと言えるでしょう。

とりわけ、SNSの発達はコミュニティ形成を進化させ、今や「いつでも」「世界のどこでも」「誰とでも」繋がれる時代になっています。

その結果、インターネット上のコミュニティは、文化の発展ではなく、友人間の島宇宙化したコミュニティを維持するために使用する側面が強く、消費と創作を限りなく同一化させる空間を醸成しました。

電子書籍はアナログと異なり、「『モノ』だけでは見えにくい『コト』の側面が垣間見えるようになっている」わけです。

さて、SNSがいつどのような形で生まれたかについては、様々な議論があり、定説はありません。できた当初は、ユーザーがページを自作してプロフィールを掲載し、招待制や相互承認など、口コミによって参加者を集めるための仕掛けに過ぎませんでした。

ここで構築された知人関係のネットワークをコミュニケーションに活用するサービスが急成長したと言われています。

インターネットの性質の変化が、インターネットと親和性の高い電子書籍にも影響を及ぼしたと考えられるように思います。

まとめ

アナログと電子書籍を比較すると、電子書籍が手軽になったことは多く指摘されています。しかし、私はそれだけではないと考えています。

端末上で管理することのできるようになった手軽な電子書籍は、従来と異なりインターネットと親和性が高く、メディアとしての性質にも変化を及ぼしています。その結果、出版側の意図や目的も変わってきたように思います。

とりわけ、従来の書籍に比べて、コミュニティ形成に重点を置かれつつある電子書籍の今後に注目していきたいところ。売れるようにするには、電子書籍の特徴とも言える「読者との近さ」を利用したり、「視覚情報を活用」したりと、様々に戦略が練れそうです。

参考文献
1)谷島貫太・松本健太郎(2017)「記録と記憶のメディア論」メディアの未来9、ナカニシヤ出版
2)日本電子出版協会「『電子出版元年』は何回目?」下川和男、2012年11月01日http://www.jepa.or.jp/keyperson_message/201211_386/(2019年2月7日最終閲覧)
3)菅谷明子(2000)「メディア・リテラシー」岩波新書
4)宇野常寛(2011)「リトル・ピープルの時代」幻冬舎
5)大向一輝(2015)「SNSの歴史」『通信ソサイエティマガジン』電子情報通信学会、9巻2号、P.70〜75

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