みなさんこんにちは! 神崎なつめです。
経営をしていると、どうしてもやらかしてしまうことはあるものです。
どう対応していけば良いのでしょうか。
今日は中国と日本の食問題を比較して、考えていきたいと思います。
中国における食問題
中国といえば、「環境汚染」や「食の不安全」が直ぐに思いつくかもしれません。
実際に中国へ出張や留学をする人々の多くが心配をするのは食ですよね。
なぜなら、 環境汚染はある程度マスクで防ぐことができても、食は日々摂取しなければな らないものであり、生活から切り離すことが不可能だからです。
食の不安ゆえ に中国に行くことを躊躇う人がいたり、折角の海外出張にも関わらず、嫌々に行く程、その問題は深刻です。
しかし、こうした反応とは裏腹に、かつて中国においては、宗教と同列の地位 を占めていました。
また、中国の発展過程において、「世界の工場」として名を轟かせ、食品の安全水準は先進国に匹敵していたこともありました。
それ程に重要な⻭車であり、重要な文化だったのです。
ですが、事実として、近年中国の食に対する安全は問題視されています。
例えば毒粉ミルク、例えば地溝油などの不祥事件。挙げればき りのない程に問題を起こしてきました。
それゆえ、この食に対する不信感は中国内の みに止まることなく、他国にまで及んでいます。
そして、せっかく急発展を遂げたにも関わらず、再び不安定な市場環境と厳しい市場競争にさらされる事となっています。
なぜ食が軽視された?
この、中国の食に対する急速な地位低下とも見える現象が起きたのは一体なぜなのでしょうか。
原因として、中国の経済成⻑があまりにも急発展だったためではないかと考えます。
急速な成⻑に人員が追いつかず、管理や監督が疎かになってしまった結果、食への配慮が蔑ろにされてしまったのかもしれません。
また、その忙しさゆえに、自分自身がかつて大切にしていた食品の地位を下げていることにすら気づけていないのかもしれませんね。
そして次から次へ代替わりをしていけば、食に対する思いというのは引き継がれることなく忘却されてしまうとも考えられます。
しかし、幸いにして、このような事件を元に、再び食品問題への関心を払うようになり始めつつあるのもまた事実です。
現に、先の毒粉ミルクを例に取っても大手企業に許されていた品質検査の免除制度が廃止されています。
食がかつての様な地位に君臨する未来の可能性も残されているように感じますね。
日本でも食問題が……
日本でも乳製品の食品問題が起こったことがあります。かの有名な、『雪印メグミルク』ですね。
実は、小学校などの給食でもなじみ深い、このメーカーは2度にわたり事件を起こしていています。
1度目は 2000年の乳業中毒事件。
この時は回収及び通達に時間を要したために被害は1万人を超える事態となりました。
2度目は乳製品ではありませんでしたが、翌年に問題を起こしています。これが牛肉偽装事件です。
前年の事故性の高いものというより悪質性の極めて高い事件と言えるものです。
安価な輸入牛肉と国産牛肉とをすり替えて申請し、交付金を不正に受給したという、明らかな詐欺行為が行われていました。
これらの背景にはラベルのすり替えなど、国内で食品業界の混乱が見られる時代であった事からも、倫理観の低下が考えられるのではないでしょうか
雪印食品(株)はこうした事件によって解散することになりました。
のちに、『日本ミルクコミュニティ(株)』と『雪印食品(株)』が経営統合し、『雪印メグミルク(株)』 が設立しています。
このように、一度解散した新たな『雪印メグミルク』は、 徐々に売上回復を図ることが叶っています。
なぜ回復を図れた?
雪印メグミルクが回復を図れたことに疑問を持つ人もいるでしょう。
中国は食品問題が現在 も根付いている中、なぜ日本はそれほど年月をかけずに信用を勝ち取れたのでしょうか。
そのヒントは、2003 年度に環境省が行った「社会的責任投資に関す る日米英三ヵ国比較調査」にある様に思います。
この調査では、「あなたは証券投資をするときに企業の社会的責任を考慮に入れて投資判断を行うべきだとお考え ですか」という設問がありました。
そして、「考慮に入れるべきだと思う」「ある程度 考慮に入れるべきだ」と答えた人を対象に、「考慮に入れるべきだと考える領域」 を複数回答の形式で質問が行われていました。
そこでの回答が以下の通りです。
「製品等における顧客の健康・安全性配慮」71.7%、「環境問題への対応」71.6%、「消費者保護への配慮」61.9%。
一方、他国と比べ低い結果となった項目は「労使関係・ 従業員の権利等への配慮」、「従業員の健康・安全」、「差別・機会均等の配慮」、 「児童労働・強制労働の回避」、「コミュニティへの貢献」などが挙げました。
以上のことから、日本は従業員などのコミュニティよりも、第一に消費者の満足・安全が優先されていると読み取れますね。
このような統計結果が見られるように、雪印メグミルクは、事件の解決方法を積極的に模索し、客の損害を最低限にとどめる努力を行いました。
一方中国はといえば、多くは事件をひた隠しにする方向へ進み、事件からの逃避を行っています。
結果、企業を失い、客からの信用も失い、再び立ち上がることがないのが現状と言えます。
日本のやり方は正しいのか
果たして、日本のあり方は正しいのでしょうか。
言うまでもなく、日本社 会にはお客様第一の理念が根付いています。
現在、他国ではないほどに客の地位が上昇し、従業員の地位の低さが目立つようになり社会問題になりつつあるのは、 この様な思考と優先順位が根底にあるかもしれません。
ともすれば、この方向性は決して正しいものと言えないのではないでしょうか。
確かに中国の現状は良くありませんが、日本も、食の次には人々の幸福や健康、労働条件など問題ごとが増えてしまうでしょう。
確かに食という一面を見れば、問題は解決しているかもしれませんね。
しかし、それはあくまでも一 面を見ているに過ぎないという事を忘れてはならないと思います。
問題を解決するというのは、問題を増やさないで行えてこそ初めて解決したと言えるのだと思います。
だから、問題を増やさないためのシュミレーションと、問題が起きた時の原因究明を大切にしていきたいものです。
その責任を従業員に負わせるのではなく、どういう経営を行えば、従業員がミスを犯さなかったのか、考えたいと思います。
中国のように、従業員や会社を守るためにひた隠しにしてもいけませんからね。
こんな経営ができたらいいですよね。
まとめ
神崎はまだ経営者になったことはありませんが、社会のシステムに常に疑問を持ち、より良い社会づくりができればと思っています。
そのためには、今あるものが正解だと思わず、疑う心も大事になりそうですね。
参考文献
(1)周勍著、廖建龍訳(2007 年 10 月)『⺠以何食為天中国の危ない食品――中国食安全現状調査』草思社
(2)石原亨一 (2014 年 02 月) 学論集
(3)渡辺真理子 (2008 年 10 月)「組織から見た分析―」 www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Download/…/0810_mwatanabe.pdf 04 03日閲覧
(4)雪印「2 つの事件」の概要と「雪印八雲工場食中毒事件」について http://www.meg-snow.com/CSR/policy/approach/summary.html
04 月03日閲覧
(5)雪印「2 つの事件」の概要と「雪印八雲工場食中毒事件」について http://www.meg-snow.com/CSR/policy/approach/summary.html
04 月 03日閲覧
(6)社会的責任投資に関する日米英 3 か国比較調査報告書 – 環境省 https://www.env.go.jp/policy/kinyu/rep_h1506/all.pdf
04 月 03日
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